2014年09月10日
「椎葉村の山と川」日記⑬
昨日に引き続き、「椎葉村の民家」についてです。
今回は、鶴富屋敷の図面とともに基本的な椎葉村の民家の造りについて解説したいと思います。
家屋は「並列型民家」と称し、皆同じような形式で、前面に縁側を横一列に設け、さらに各部屋を横に配置した長い形で、椎葉村は傾斜地が多く平地が少なかったので先人の知恵と言えます。
さて、建物の平面図ですが、図面の左側から、「ござ」「でい」「つぼね」「うちね」「どじ」という名称ですが、この鶴富タイプの民家の共通の呼称です。
「ござ」は神仏を祭る神聖な場所、「でい」は一番広い部屋で、客間や冠婚葬祭に用いられ、「つぼね」は、夫婦部屋でお産の部屋にもなりました。
「うちね」は家族団欒の間で、「どじ」は土間のことで、かつては臼やかまどがありました。
また、各部屋には、身分に応じて行き来が制限される、上座と下座があったことや、囲炉裏が全部の部屋にあることもこの民家の特徴です。
さらに、全ての部屋の背面には、戸棚が造りつけられ、どの民家にも見事なケヤキの一枚板が施され、数百年経過した風合いに圧倒されます。